2013年1月1日火曜日

足の厥陰肝経(Liver Meridian)


 足の厥陰肝経は、足の少陽胆経の脈気を受けて足の第1指外側端に起こり、足背、内果の前、下腿前内側を上り、脾経と交わり、膝窩内側、大腿内側に沿って、陰毛の中に入り、生殖器をめぐって下腹に至り、側腹部を経て、胃をはさんで肝に属し、胆を絡う。さらに、横隔膜を貫き季肋に広がり、食道・気管・喉頭、目系(眼球、視神経)につらなり、額に出て、頭頂部[百会]で督脈と交わる。
 目系から分かれた支脈は、頬の裏に下り唇の内側をめぐる。肝から分かれた支脈は、横隔膜を貫いて肺を通って、中焦に至り、手の太陰肺経とつながる。




LR1 大敦(だいとん)(肝経の井木穴
部位:足の第1指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点
取り方:足の第1指爪根部近位縁に引いた線と、外側縁に引いた線との交点に取る。
解剖:≪皮枝≫深腓骨神経、[血管]背側指動脈

LR2 行間(こうかん)(肝経の滎火穴
部位:足背、第1・第2指間、みずかきの近位、赤白肉際。
取り方:第1・第2中足指節関節間の直前の陥凹部に取る。
解剖:≪皮枝≫深腓骨神経、[血管]背側指動脈

LR3 太衝(たいしょう)(肝の原穴肝経の兪土穴
部位:足背、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部。
取り方:第1・第2中足骨間を指頭で撫で上げたとき、指が止まるところで、足背動脈の拍動部に取る。
解剖:第1背側骨間筋<筋枝>外側足底神経、≪皮枝≫深腓骨神経、[血管]背側動脈

LR4 中封(ちゅうほう)(肝経の経金穴
部位:足関節前内側、前脛骨筋腱内側の陥凹部、内果尖の前方
取り方:内果尖の前方で、前脛骨筋腱の内側陥凹中に取る。
※解渓(胃経)と商丘(脾経)との間にあたる。
解剖:前脛骨筋(腱)<筋枝>深腓骨神経、≪皮枝≫伏在神経、[血管]前内果動脈

LR5 蠡溝(れいこう)(肝経の絡穴
部位:下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5
取り方:内果尖と膝蓋骨尖とを結ぶ線を3等分し、内果尖から3分の1のところ、脛骨の前縁と内側縁との中間に取る。
※内果尖から膝蓋骨尖までの長さを15寸とする。
解剖:≪皮枝≫伏在神経、[血管]下行膝動脈の枝

LR6 中都(ちゅうと)(肝経の郄穴
部位:下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸。
取り方:内果尖と膝蓋骨尖とを結ぶ線の中点の下方5分で、脛骨の前縁と内側縁との中間に取る。
解剖:≪皮枝≫伏在神経、[血管]下行膝動脈の枝

LR7 膝関(しつかん)
部位:下腿脛骨面、脛骨内側顆の下方、陰陵泉の後方1寸。
取り方:陰陵泉(脾経)の後方1寸で、脛骨内側顆の下方に取る。
解剖:薄筋<筋枝>閉鎖神経、半腱様筋<筋枝>脛骨神経、≪皮枝≫伏在神経、[血管]内側下膝動脈・下行膝動脈(伏在枝)

LR8 曲泉(きょくせん)(肝経の合水穴
部位:膝内側、半腱・半膜様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端。
取り方:膝関節を屈曲し、膝窩横紋の内端で最も明らかに触れる腱の内側陥凹中に取る。
解剖:薄筋<筋枝>閉鎖神経、半腱様筋(腱)・半膜様筋(腱)<筋枝>脛骨神経、≪皮枝≫伏在神経、[血管]内側下膝動脈・下行膝動脈(伏在枝)

LR9 陰包(いんぽう)
部位:大腿部内側、薄筋と縫工筋の間、膝蓋骨底の上方4寸。
取り方:曲泉の上方m膝蓋骨底上方4寸の高さで、縫工筋と薄筋との間に取る。
※股関節をやや屈曲・外転・外旋させ、筋を緊張させると、縫工筋がより明確になる。
※膝蓋骨上縁から恥骨結合上縁までの長さを18寸とする。
解剖:縫工筋<筋枝>大腿神経、薄筋<筋枝>閉鎖神経、≪皮枝≫閉鎖神経、[血管]下行膝動脈(大腿動脈の枝)

LR10 足五里(あしごり)
部位:大腿部内側、気衝の下方3寸、動脈拍動部
取り方:大腿内側の上部で気衝(胃経)の外下方3寸、動脈拍動部に取る。
解剖:恥骨筋<筋枝>大腿神経、長内転筋<筋枝>閉鎖神経、≪皮枝≫陰部大腿神経、[血管]大腿動脈

LR11 陰廉(いんれん)
部位:大腿部内側、気衝の下方2寸。
取り方:大腿内側の上部で気衝(胃経)の外下方2寸に取る。
解剖:恥骨筋<筋枝>大腿神経、≪皮枝≫陰部大腿神経、[血管]大腿動脈

LR12 急脈(きゅうみゃく)
部位:鼡径部、恥骨結合上縁と同じ高さ、前正中線の外方25分。
取り方:曲骨(任脈)の外方25分に取る。
解剖:外腹斜筋<筋枝>肋間神経・腸骨下腹神経、内腹斜筋<筋枝>肋間神経・腸骨下腹神経・腸骨鼡径神経、精巣挙筋(男子)<筋枝>陰部大腿神経、≪皮枝≫腸骨下腹神経(前皮枝)・腸骨鼡径神経、[血管]浅腹壁動脈・下腹壁動脈

LR13 章門(しょうもん)(脾の募穴八会穴の臓会
部位:側腹部、第11肋骨端下縁。
取り方:側臥して、第11肋骨前端の下縁に取る。
解剖:外腹斜筋・内腹斜筋<筋枝>肋間神経、≪皮枝≫肋間神経(外側皮枝)、[血管]肋間動脈

LR14 期門(きもん)(肝の募穴
部位:前胸部、第6肋間、前正中線の外方4寸。
取り方:乳頭中央の下方で、乳根(胃経)の1肋間下に取る。
※巨闕(任脈)の外方4寸にあたる。
※女性では鎖骨中線と第6肋間の交点に取る。
解剖:大胸筋<筋枝>内側・外側胸筋神経、≪皮枝≫肋間神経(前皮枝・外側皮枝)、[血管]肋間動脈・胸肩峰動脈




足の少陽胆経(Gallbladder Meridian)21~44穴





GB21 肩井(けんせい)(安全深度:20mm以内
部位:後頸部、第7頸椎棘突起と肩峰外縁を結ぶ線上の中点。
取り方:第7頸椎棘突起と肩峰外縁中央との中点に取る。
※天髎(三焦経)の上方にあたる。
解剖:僧帽筋<筋枝>副神経・頸神経叢の枝、≪皮枝≫鎖骨上神経、[血管]頸横動脈

GB22 淵腋(えんえき)
部位:側胸部、第4肋間、中腋窩線上。
取り方:腋窩中央の下方で第4肋間に取る。
解剖:前鋸筋<筋枝>長胸神経、肋間神経<筋枝>肋間神経、≪皮枝≫肋間神経(外側皮枝)、[血管]外側胸動脈・胸背動脈・肋間動脈 

GB23 輒筋(ちょうきん)
部位:側胸部、第4肋間、中腋窩線の前方1寸。
取り方:淵腋の前方1寸で、天渓(脾経)との中点に取る。
解剖:前鋸筋<筋枝>長胸神経、肋間神経<筋枝>肋間神経、≪皮枝≫肋間神経(外側皮枝)、[血管]外側胸動脈・胸背動脈・肋間動脈

GB24 日月(じつげつ)(胆の募穴
部位:前胸部、第7肋間、前正中線の外方4寸。
取り方:乳頭中央の下方で、乳根(胃経)の2肋間下に取る。
※女性では、鎖骨中線と第7肋間との交点に取る。
解剖:大胸筋<筋枝>内側・外側胸筋神経、≪皮枝≫肋間神経(前皮枝・外側皮枝)、[血管]肋間動脈

GB25 京門(けいもん)(腎の募穴
部位:側腹部、第12肋骨端下縁。
取り方:側臥して、第12肋骨下縁を脊柱側から押していくと前端に触れ、その下縁に取る。
解剖:外腹斜筋・内腹斜筋<筋枝>肋間神経・腸骨下腹神経・腸骨鼡径神経、≪皮枝≫肋間神経(外側皮枝)、[血管]肋間動脈

GB26 帯脈(たいみゃく)
部位:側腹部、第11肋骨端下方、臍中央と同じ高さ
取り方:臍の中央を通る水平線と、第11肋骨端を通る垂線との交点に取る。
解剖:外腹斜筋・内腹斜筋<筋枝>肋間神経・腸骨下腹神経、≪皮枝≫肋間神経(外側皮枝)、[血管]肋間動脈

GB27 五枢(ごすう)
部位:下腹部、臍中央の下方3寸、上前腸骨棘の内方。
取り方:関元(任脈)の外方で、帯脈の前下方、上前腸骨棘の内方に取る。
解剖:外腹斜筋・内腹斜筋<筋枝>肋間神経・腸骨下腹神経、≪皮枝≫腸骨下腹神経(外側皮枝)、[血管]浅・深腸骨回旋動脈

GB28 維道(いどう)
部位:下腹部、上前腸骨棘の内下方5分。
取り方:五枢の内下方5分に取る。
解剖:外腹斜筋・内腹斜筋<筋枝>肋間神経・腸骨下腹神経、≪皮枝≫腸骨下腹神経(外側皮枝)、[血管]浅・深腸骨回旋動脈

GB29 居髎(きょりょう)
部位:殿部、上前腸骨棘と大転子頂点の中点。
取り方:維道の外下方で、上前腸骨棘と大転子の頂点との中点に取る。
解剖:大腿筋膜張筋・中殿筋<筋枝>上殿神経、≪皮枝≫上殿皮神経・腸骨下腹神経(外側皮枝)、[血管]外側大腿回旋動脈(上行枝)・上殿動脈

GB30 環跳(かんちょう)
部位:殿部、大転子の頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子頂点から3分の1
取り方:仙骨裂孔(督脈の腰兪)と大転子の頂点とを結ぶ線を3等分し、大転子の頂点から3分の1のところに取る。
※側臥し、股関節を屈曲すると取穴しやすい。
別説
部位:大腿部、大転子の頂点と上前腸骨棘の間、大転子頂点から3分の1
取り方:上前腸骨棘と大転子の頂点とを結ぶ線を3等分し、大転子の頂点から3分の1のところに取る。
※この場合も、側臥し、股関節を屈曲すると取穴しやすい。
解剖:大殿筋<筋枝>下殿神経、≪皮枝≫上殿皮神経・下殿皮神経、[血管]上殿動脈・下殿動脈

GB31 風市(ふうし)
部位:大腿部外側、直立して腕を下垂し、手掌を大腿部に付けたとき、中指の先端があたる腸脛靱帯の後方陥凹部。
取り方:直立して上肢を下垂したとき、大腿外側に中指頭があたるところで、腸脛靱帯と大腿二頭筋との間に取る。
解剖:腸脛靱帯、大腿二頭筋長頭<筋枝>脛骨神経、大腿二頭筋短頭<筋枝>総腓骨神経、外側広筋<筋枝>大腿神経、≪皮枝≫外側大腿皮神経、[血管]外側大腿回旋動脈(下行枝)

GB32 中瀆(ちゅうとく)
部位:大腿部外側、腸脛靱帯の後方で、膝窩横紋の上方7寸。
取り方:膝窩横紋の上方7寸で、腸脛靱帯と大腿二頭筋との間に取る。
※大転子から膝窩中央までの長さを19寸とする。
解剖:腸脛靱帯、大腿二頭筋長頭<筋枝>脛骨神経、大腿二頭筋短頭<筋枝>総腓骨神経、外側広筋<筋枝>大腿神経、≪皮枝≫外側大腿皮神経、[血管]外側大腿回旋動脈(下行枝)

GB33 膝陽関(ひざようかん)
部位:膝外側、大腿二頭筋腱と腸脛靱帯の間の陥凹部、大腿骨外側上顆の後上縁。
取り方:中瀆から腸脛靱帯後縁に沿って下がると大腿骨外側上顆に触れ、その後上縁に取る。
解剖:腸脛靱帯、大腿二頭筋長頭(腱)<筋枝>脛骨神経、大腿二頭筋短頭(腱)<筋枝>総腓骨神経、≪皮枝≫外側大腿皮神経、[血管]外側上膝動脈

GB34 陽陵泉(ようりょうせん)(胆経の合土穴八会穴の筋会胆の下合穴
部位:下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部。
取り方:下腿外側で腓骨頭の前下部、長腓骨筋腱の前縁に取る。
解剖:長腓骨筋<筋枝>浅腓骨神経、≪皮枝≫外側腓腹皮神経、[血管]腓骨回旋枝(後脛骨動脈)

GB35 陽交(ようこう)(陽維脈の郄穴
部位:下腿外側、腓骨の後方、外果尖の上方7寸。
取り方:外果尖と膝窩横紋外端とを結ぶ線の中点の下方1寸の高さで、腓骨直後の陥凹部に取る。
※外丘と 飛揚(膀胱経)との間にあたる。
※外果尖から膝窩横紋外端までの長さを16寸とする。
解剖:長腓骨筋<筋枝>浅腓骨神経、ヒラメ筋<筋枝>脛骨神経、≪皮枝≫外側腓腹皮神経、[血管]前脛骨動脈の枝




GB36 外丘(がいきゅう)(胆経の郄穴
部位:下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸。
取り方:外果尖と膝窩横紋外端とを結ぶ線の中点の下方1寸の高さで、腓骨直前の陥凹部に取る。
※陽交と下巨虚(胃経)との間にあたる。
解剖:長腓骨筋<筋枝>浅腓骨神経、≪皮枝≫外側腓腹皮神経、[血管]前脛骨動脈の枝

GB37 光明(こうめい)(胆経の絡穴
部位:下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方5寸。
取り方:外果尖の上方5寸で、腓骨の前縁に取る。
解剖:長腓骨筋・短腓骨筋<筋枝>浅腓骨神経、≪皮枝≫外側腓腹皮神経、[血管]前脛骨動脈の枝

GB38 陽輔(ようほ)(胆経の経火穴
部位:下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方4寸。
取り方:外果尖と膝窩横紋外端とを結ぶ線を4等分し、外果尖から4分の1のところ、腓骨の前縁に取る。
解剖:短腓骨筋<筋枝>浅腓骨神経、≪皮枝≫外側腓腹皮神経・浅腓骨神経、[血管]前脛骨動脈の枝

GB39 懸鍾(けんしょう)(八会穴の髄会)(別名:絶骨
部位:下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方3寸。
取り方:外果尖の上方3寸で、腓骨の前方に取る。
※跗陽(膀胱経)の前方にあたる。
解剖:短腓骨筋<筋枝>浅腓骨神経、≪皮枝≫外側腓腹皮神経・浅腓骨神経、[血管]前脛骨動脈の枝

GB40 丘墟(きゅうきょ)(胆の原穴
部位:足関節前外側、長指伸筋腱外側の陥凹部、外果尖の前下方。
取り方:抵抗に抗して足の第2指から第5指を伸展させると、長指伸筋腱がはっきり現れ、その外側陥凹中に取る。
※外果尖の前下方にあたる。
解剖:長指伸筋(腱)<筋枝>深腓骨神経、≪皮枝≫浅腓骨神経、[血管]外果動脈網

GB41 足臨泣(あしりんきゅう)(胆経の兪木穴八脈交会穴
部位:足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位、第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部。
取り方:第4・第5中足骨間を指頭で撫で上げたとき、指が止まるところに取る。
解剖:第4背側骨間筋<筋枝>外側足底神経、≪皮枝≫浅腓骨神経、[血管]第4背側中足動脈

GB42 地五会(ちごえ)
部位:足背、第4・第5中足骨間、第4中足指節関節近位の陥凹部。
取り方:第4中足指節関節の後外側陥凹中に取る。
解剖:第4背側骨間筋<筋枝>外側足底神経、≪皮枝≫浅腓骨神経、[血管]第4背側中足動脈

GB43 侠渓(きょうけい)(胆経の滎水穴
部位:足背、第4・第5指間、みずかきの近位、赤白肉際
取り方:第4・第5中足指節関節間の直前の陥凹部に取る。
解剖:第4背側骨間筋<筋枝>外側足底神経、≪皮枝≫浅腓骨神経、[血管]背側指動脈

GB44 足竅陰(あしきょういん)(胆経の井金穴
部位:足の第4指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。
取り方:足の第4指爪根部近位縁に引いた線と、外側縁に引いた線との交点に取る。
解剖:≪皮枝≫浅腓骨神経、[血管]背側指動脈