2014年6月4日水曜日

痛みの性質


痛みを引き起こす病因や病証によって、疼痛の性質も異なる。代表的な痛みの性質とそれを引き起こす病因や病証について、以下にまとめる。






脹痛(ちょうつう)
脹った感じ。膨満感を伴う痛み
気滞
刺痛(しつう)
錐で刺したような痛み
血瘀
酸痛(さんつう)
だるい痛み
虚証、湿証
重痛(じゅうつう)
重く感じられて痛む
湿証
冷痛(れいつう)
冷えを伴う痛み
寒証(実寒、虚寒)
灼痛(しゃくつう)
灼熱感を伴う痛み
熱証(実熱、虚熱)
絞痛(こうつう)
絞扼痛、疝痛
寒証、血瘀、結石
隠痛(いんつう)
がまんできる持続性の鈍痛
虚証
掣痛(せいつう)
ひっぱられるような痛み
肝の病証
空痛(くうつう)
疼痛部位に空虚感を伴うもの
気血精髄の不足









<参考>

2014年6月2日月曜日

舌診



●正常な舌の状態

舌体の形態
萎縮や腫脹、強ばりや歪みがなく、裂紋や点刺もないなど、特別な形態変化がない
舌質の色
淡紅色である。気血がともに適切に舌質をめぐっていることを示す。
舌苔色と性質
舌の中心部に薄い薄苔があり、適度に潤いがある。


●舌と五臓配当

舌根部・・・腎・・・下焦
舌中部・・・脾胃・・・中焦
舌辺部・・・肝胆・・・中焦
舌尖部・・・心、(肺)・・・上焦






●舌体の形態

胖舌(はんぜつ)
舌体が腫れて大きいもの
陽虚、熱盛など
痩舌(そうぜつ)
舌体が痩せて小さく薄いもの
気血両虚、陰虚など
裂紋舌(れつもんぜつ)
舌体の表面に亀裂があるもの
陰虚、血虚など
歯痕舌(しこんぜつ)
舌体のふちに歯のあとがあるもの
気虚、脾虚など
芒刺舌(ぼうしぜつ)
舌体にとげ状の隆起があるもの
熱邪、臓腑の熱(火)など
硬舌(こうぜつ)
舌体が硬直し、舌運動が円滑でないもの
中風の前兆、高熱、痰濁など
軟舌(なんぜつ)
舌体が軟弱で、伸縮無力なもの
気血両虚、陰虚など
顫動舌(せんどうぜつ)
舌体が震えて止まらないもの
気血両虚、陽虚など
歪斜舌(わいしゃぜつ)
舌を伸ばした時に舌体が歪むもの
中風、中風の前兆


●舌質の色

淡紅舌(たんこうぜつ)
正常な血色をしているもの
正常、表証、軽い熱証
淡舌(浅紅舌)
正常な舌色より淡白なもの
陽虚、血虚、寒証
紅舌(鮮紅舌)
正常な舌色より赤いもの
実熱、陰虚による虚熱
絳舌(こうぜつ)(深紅舌)
舌色が深紅色であるもの
熱極、陰虚による虚火
紫舌(しぜつ)(青紫舌)
舌色が青紫であるもの
血瘀、熱毒、寒証


●舌苔の色

白苔
白い苔
正常、表証、寒証
黄苔
黄色い苔
熱証、裏証
灰苔
浅黒色の苔
裏熱証、寒湿証
黒苔
黒い苔、または焦げた苔
裏証、熱極、寒盛






●舌苔の厚さと舌質

薄苔
苔が薄く、見底できるもの
正常、表証、虚証、邪気が弱い
厚苔
苔が厚く、見底できないもの
裏証、実証、邪気が強い
潤苔
苔に潤いがあるもの
正常(津液の未損傷)、湿邪
燥苔
苔が乾いているもの
津液の損傷、陰液の損傷、燥邪
滑苔
舌の水分過多
水湿の停滞
膩苔(じたい)
苔がねっとりし、剥離しにくいもの
痰飲、湿濁
腐苔(ふたい)
苔がおから状を呈し、剥離しやすいもの
食積、痰濁
剝落苔
苔の一部、またはすべてが剝落しているもの
気陰両虚

<参考>