2013年12月2日月曜日

前十字靭帯損傷に対する検査『ラックマンテスト(Lachman’s Test)』

『ラックマンテスト(Lachman’s Test)』は前十字靭帯損傷に対するテスト。


患者を仰臥位とし、膝30°屈曲位で片手で大腿をつかみ固定する。反対の手で脛骨をつかみ上方(前方)へと引っぱる。このときにエンドポイント(グッと止まる感じ)が感じられずに大きく動くようであれば前十字靭帯損傷が考えられる。







<参考>

前十字靭帯損傷に対する検査『前方引き出しテスト(Drawer sign)』

『前方引き出しテスト(Drawer sign)』は前十字靭帯損傷に対するテスト。


患者を仰臥位にし、膝を90°曲げる。下腿近位部を把持して、下腿を前方へ引き出す。下腿が大きく前方へ動くようであれば前十字靭帯損傷が考えられる。健常人でも、側方および前後の動揺性はある程度認められるので、必ず左右をよく比較する。 ラックマンテストのほうが有用性が高い。







<参考>

半月板損傷、膝関節側副靭帯損傷に対する検査『アプレー押し下げ・引き上げテスト(Apley’s Compression test)』

『アプレー押し下げ・引き上げテスト(Apley’s Compression test)』は半月板損傷や膝関節側副靭帯損傷に対するテスト。


腹臥位で、検者は患者の足をつかんで膝を90°屈曲させる。検者は膝を患者の大腿の後面に軽くのせて大腿を固定する。患者の脛骨内・外側顆が、大腿骨内・外側顆を圧迫するように、足に力を加えて下方に押し、同時に下腿を内方に捻転する。このときに疼痛があれば、外側半月板損傷が考えられる。同じ動作を下腿を引き上げながら行い、膝外側に痛みがあれば、外側側副靭帯損傷が考えられる。 内側半月板、内側側副靭帯損傷について検査する場合は、下腿外方捻転を加えながら上記の押し下げ、引き上げテストを行う。







<参考>

半月板損傷に対する検査『マックマレーテスト(McMurray’s test)』

『マックマレーテスト(McMurray’s test)』は半月板を歪ませながら膝の運動を行うことで半月板損傷を確認する検査。


仰臥位で股関節と膝関節を最大屈曲し、下腿を外反・内旋(または内反・外旋)し、外側(または内側)の関節裂隙を触れながら伸展していき、クリック(“コリッ”という音)や疼痛の有無を検査する。外側(または内側)半月板後半部の損傷があれば陽性となることがある。







<参考>

膝の側副靭帯損傷に対する検査『外転ストレステスト(abduction stress test)および内転ストレステスト(adduction stress test)』

『外転ストレステスト(abduction stress test)および内転ストレステスト(adduction stress test)』は膝関節の外側・内側側副靭帯損傷を確認するテスト。


患者を仰臥位とし、膝伸展位で外反または内反させる。通常、膝伸展位では側副靭帯の緊張により膝関節の側方動揺は制限されているが、外側および内側側副靭帯損傷があると側方動揺が認められる。側副靭帯の他にも、腸脛靱帯や前・後十字靭帯、関節包なども側方動揺の制動に関与している。他の検査と組み合わせることで損傷部位を絞っていく。








<参考>

2013年11月28日木曜日

中殿筋の機能不全による検査『トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg test)』

『トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg test)』は中殿筋機能不全を確認するテスト。


患側肢で片脚起立した際、健側の骨盤が下がるとトレンデレンブルグ徴候は陽性と判定される。中殿筋による骨盤の外側からの支持が十分でないことによる。先天性股関節脱臼、中殿筋麻痺などの疾患でみられる。







<参考>

股関節病変、仙腸関節、腸腰筋に対する検査『パトリックテスト(Patrick test)(4の字テスト)』

『パトリックテスト(Patrick test)(4の字テスト)』は仙腸関節や腸腰筋、股関節(とくに変形性股関節症)の病変を確認するテスト。


股関節を他動的に屈曲、外転、外旋させて、その脚の外果を他側の伸展した下肢の膝の上にのせる。検者は、検査する側の膝の内側に手を当て、外方に圧迫する。疼痛の為、膝の外側が台につかない場合を陽性とし、疼痛の部位によって仙腸関節や腸腰筋、股関節(とくに変形性股関節症)の病変などが疑われる。







<参考>

股関節屈曲拘縮に対する検査『トーマステスト(Thomas test)』

『トーマステスト(Thomas test)』は股関節屈曲拘縮の有無を確認するテスト。


患者を仰臥位とし、片方ずつ膝を胸につけるように両手で抱かせる。この肢位で、屈曲していない方の大腿がベッドから離れたら陽性とする。大腿四頭筋の筋緊張が触れる場合、大腿直筋による拘縮が示唆される。もし大腿直筋に緊張が触れなければ、股関節の構造もしくは関節包が原因と考えられる。






<参考>

2013年11月1日金曜日

腰椎椎間板ヘルニア(L3~4)に対する検査『大腿神経伸展テスト(Femoral Nerve Traction Test)』(動画付き)

『大腿神経伸展テスト(Femoral Nerve Traction Test)』はL3~4間の神経根症状を確認するテスト。


患者を腹臥位とし膝関節を屈曲させ、股関節を伸展した時、大腿前面に痛みが生じると陽性である。疼痛が生じる場合、上位腰椎(L3,L4)の椎間板ヘルニアが疑われる。






<参考>

腰椎椎間板ヘルニアに対する検査『上殿神経域圧迫テスト』

『上殿神経域圧迫テスト』は上殿神経の支配領域の易刺激性を確認するテスト。


上殿神経は梨状筋上孔から出て、腸骨稜に沿って殿部の深層を横に下外方に走る。殿部を4等分し、外上方1/4の領域の中央部の圧痛の有無を調べる。腰椎椎間板ヘルニアでは両側に圧痛を訴えるが、ヘルニアのある側で顕著である。



<参考>

坐骨神経根(L4~5、L5~S1)に対する検査『ガワース・ブラガード徴候(Bragard’s test)』(動画付き)

『ガワース・ブラガード徴候(Bragard’s test)』はL4~S1間の神経根症状や椎間関節障害、ハムストリングスの緊張度合いを確認するテスト。


仰臥位で患者の脚を痛みがでるまで持ち上げる。次に脚を5°下げて、足関節を背屈させる。下肢挙上や足関節背屈は坐骨神経を牽引する。下肢挙上0°~35°の間で足関節背屈により痛みが誘発されれば、坐骨神経の硬膜外からの刺激が疑われる。下肢挙上35°~70°の間で足関節背屈により痛みが誘発されれば、硬膜内からの坐骨神経根の刺激が疑われる。普通は椎間板によるものである。大腿後部の鈍い痛みはハムストリングスの緊張を示す。






<参考>

2013年10月28日月曜日

坐骨神経痛に対する検査『ボンネットテスト(Bonnet test)もしくは梨状筋伸展テスト(Piriformis test)』

『ボンネットテスト(Bonnet test)もしくは梨状筋伸展テスト(Piriformis test)』は梨状筋部で坐骨神経にストレスをかけて坐骨神経痛の有無を確認するテスト


仰臥位で、股関節と膝関節を直角に曲げ、股関節の内旋・内転を強制する。大転子の後方で、坐骨神経が骨盤より出てくる部分に疼痛を訴える。ラセーグテストの増強法とみられ、坐骨神経痛で陽性になる。





動画では8分51秒ほどからボンネットテストがはじまります。膝関節伸展位にて実施しています。


こちらは梨状筋伸展テスト(Piriformis test)


<参考>

腰椎椎間板ヘルニア(L4~5、L5~S1)および坐骨神経痛に対する検査『下肢進展挙上(SLR)テスト(Straight Leg Raising test)』(動画付き)

『下肢進展挙上(SLR)テスト(Straight Leg Raising test)』はL4~S1間の神経根症状や椎間関節障害、ハムストリングスの緊張度合いを確認するテスト。


仰臥位にして、下肢を伸展させたまま股関節を屈曲し、大腿後面の放散痛を調べる。このテストは主として、坐骨神経とL4~S1間の神経根を伸展する。股関節屈曲70°~90°の間でこれらの神経は完全に伸展する。もし70°以上で痛みが起きれば、腰椎椎間関節の痛みを疑う。股関節屈曲35°~70°で椎間板上で坐骨神経根が緊張する。この角度から放散痛が始まれば、椎間板病変による坐骨神経根の刺激を疑う。股関節屈曲0°~35°では硬膜の動きがないので、坐骨神経は比較的ゆったりしている。もし、この角度内で痛みが始まれば、硬膜外の病変が疑われる。たとえば梨状筋の痙攣あるいは仙腸関節の病変である。また、大腿後面に鈍い痛みがあれば、ハムストリングスの過緊張を疑う。







<参考>

肩関節の滑液包炎および肩回旋筋腱板損傷に対する検査『ダウバーン徴候(Dawbarn’s test)』(動画付き)

『ダウバーン徴候(Dawbarn’s test)』は肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)損傷や肩峰下滑液包、三角筋下滑液包の炎症を確認するテスト。


上肢下垂位にて肩峰下部に圧痛があるが、他動的に90°外転すると圧痛が消失する。これは肩関節の外転により、肩峰下滑液包と大結節部が肩峰の下に滑り込み、当該部への圧が減少するためである。三角筋下滑液包炎、肩峰下滑液包炎または肩回旋筋腱板損傷のときにみられる徴候である。







<参考>

2013年10月25日金曜日

肩峰下のインピンジメントに対する検査『ニアーインピンジメント徴候(Neer Impingement Sign)』(動画付き)

『ニアーインピンジメント徴候(Neer Impingement Sign)』は肩峰と大結節間を狭めることで、その間に挟まれる棘上筋腱の損傷を確認するテスト。


検者は患者の側方から片手で肩甲骨を固定し、上腕を内旋位、かつ肩甲骨平面位で外転挙上させ、大結節を肩峰下に押しつけるようにして疼痛とクリック音の誘発があるかを確認する。肩の痛みと患者の不安定な表情は検査が陽性であることを示し、棘上筋腱や上腕二頭筋長頭腱の損傷が疑われる。







<参考>

棘上筋腱損傷に対する検査『ペインフルアーク徴候』(動画付き)

『ペインフルアーク徴候』は肩峰下での棘上筋腱の損傷を確認するテスト。


肩関節を他動的に外転すると、外転60°~120°の範囲で疼痛が強く、さらに外転すれば痛みはなくなるが、最大側方挙上からしだいに上腕を対側に下げていくと、外転120°~60°の範囲でふたたび疼痛を訴える。棘上筋腱損傷時にみられる徴候である。







<参考>

2013年10月24日木曜日

上腕二頭筋長頭腱に対する検査『上腕二頭筋長頭腱伸展テスト』

『上腕二頭筋長頭腱伸展テスト』は上腕二頭筋長頭腱の炎症を確認するテスト。


検者が患者の肘を持ち、肘関節伸展で上肢を後方に挙上させて肩関節部に痛みを生じたとき、さらに腕の力を抜いて肘を屈曲させると疼痛が消失するのを上腕二頭筋長頭腱伸展テスト陽性とする。上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎を示唆する。




<参考>

2013年10月21日月曜日

上腕二頭筋長頭腱に対する検査『ヤーガソンテスト(Yergason’s test)』(動画付き)

『ヤーガソンテスト(Yergason’s test)』は上腕二頭筋長頭腱の炎症を調べるテスト。


肘を90°屈曲させ、検者が肘を保持し、患者の前腕を回内位に保つ。検者の力に対抗して前腕を回外させ、肩関節部に痛みが生ずるものをヤーガソンテスト陽性とする。この運動は結節間溝部での上腕二頭筋長頭腱や上腕横靭帯にストレスを加えることになり、同部での局所痛は上腕二頭筋長頭腱の炎症の徴候である。








<参考>

2013年10月19日土曜日

胸郭出口症候群(過外転症候群)に対する検査『ライトテスト(Wright’s test)』(動画付き)

『ライトテスト(Wright’s test)』は小胸筋と胸郭の間での腕神経叢もしくは鎖骨下動・静脈の絞扼に対するテスト。


橈骨動脈の拍動を触診した状態で、上肢を過外転させて小胸筋を緊張させたり、肋鎖間隙を狭くする。この時に、橈骨動脈の脈拍が減弱したり停止したり、手のしびれや冷感が強まったりした場合に陽性とし、小胸筋と胸郭の間での腕神経叢もしくは鎖骨下動・静脈の絞扼が疑われる。健常者でもかなり高率に陽性所見がみられるので注意する。








<参考>

胸郭出口症候群(肋鎖症候群)に対する検査『エデンテスト(Eden test)』(動画付き)

『エデンテスト(Eden test)』は肋鎖間隙部での腕神経叢もしくは鎖骨下動・静脈の絞扼に対するテスト。


橈骨動脈の拍動を触診した状態で、上肢を後下方に引き下げて肋鎖間隙を狭くする。この時に、橈骨動脈の脈拍が減弱したり停止したり、手のしびれや冷感が強まったりした場合に陽性とする。肋鎖間隙部での腕神経叢もしくは鎖骨下動・静脈の絞扼が疑われる。





エデンテストは2分58秒ほどから始まります。



<参考>

2013年10月18日金曜日

胸郭出口症候群(斜角筋症候群)に対する検査『アドソンテスト(Adson test)』(動画付き)

『アドソンテスト(Adson test)』は斜角筋部での腕神経叢もしくは鎖骨下動・静脈の絞扼に対するテスト。


橈骨動脈の拍動を触診した状態で、頸部を軽く後屈、患側へ回旋し、深呼吸させ斜角筋緊張肢位をとらせる。陽性の場合、症状の再現および橈骨動脈の微弱化をが確認でき、斜角筋部での腕神経叢もしくは鎖骨下動・静脈の絞扼が疑われる。健常者でもかなり高率に陽性所見がみられるので注意する。








<参考>

2013年10月17日木曜日

胸郭出口症候群に対する検査『モーレイテスト(Morley test)』(動画付き)

『モーレイテスト(Morley test)』は腕神経叢の圧迫による易刺激性を確認する検査。


前斜角筋部を圧迫し、神経を圧迫することによって疼痛の誘発を調べる。








<参考>

2013年10月10日木曜日

頸部の脊髄神経根テスト『イートンテスト(Eaton Test)』

『イートンテスト(Eaton Test)』は、頸部の脊髄神経根の圧迫症状や神経と周辺組織の癒着に対するテスト。


頭部を健側に屈し、助手が頭部と健側の肩を固定する。検者が患側上肢を斜下方に引っ張る。本検査を1人で行う場合は、検者が患者の背後に立ち、一方の手で頭部を健側に傾けて固定し、他方の手で患者の手首を持って後方挙上するとともに、手関節を背屈する。頸部脊髄神経根から末梢神経の通過する経路のどこかで神経が圧迫されていたり、神経と周辺組織が癒着していたりすると、著しい疼痛が放散する。



(図:『臨床医学総論第2版』より)






<参考>

2013年10月9日水曜日

頸部の脊髄神経根テスト『肩押し下げ検査法(shoulder depression test)』(動画付き)

『肩押し下げ検査法(shoulder depression test)』は、頸部の脊髄神経根の圧迫、伸展症状に対するテスト。


検者は患者の背部に立ち、患者の頭を一側に傾けて、反対側の肩を押し下げる。この検査法で根性疼痛が増強すれば、神経根を包む硬膜鞘や付近の関節包の癒着、または椎間孔の骨棘形成などにより、神経根が刺激もしくは圧迫、伸展されていることを示す。









<参考>

頸部の脊髄神経根テスト『スパーリングテスト(Spurling Test)』(動画付き)

『スパーリングテスト(Spurling Test)』は、頸部の脊髄神経根の圧迫症状に対するテスト。


頭部を患側に倒し、前頭部を圧迫する。神経根への圧迫があると、患側上肢へ放散痛、しびれ感が生ずる。









<参考>

頸部の脊髄神経根テスト ジャクソンテスト(Jackson test)』(動画付き)

『ジャクソンテスト(Jackson test)』は、頸部の脊髄神経根の圧迫症状や椎間関節包の癒着に対するテスト。


検者は患者の後方に立って一側の手掌を前頭部へ当て、肩を押し下げる。神経根や椎間関節包の癒着や、神経根への圧迫があると、患側上肢への放散痛が生ずる。







<参考>

2013年5月17日金曜日

下腿の筋(Muscles of lower leg)




●下腿の伸筋群(下腿の前面に位置。全て下腿骨間膜から起始。すべて深腓骨神経支配。)
前脛骨筋
起始:脛骨外側面、下腿骨間膜
停止:内側楔状骨、第1中足骨底(底面)
支配神経:深腓骨神経
作用:足関節背屈・内反
※足を固定すると、下腿を前に傾ける。
※歩行時に、足を前に出すときには足関節を背屈し、足先が地面をすらないようにする。

長母指伸筋
起始:腓骨内側面、下腿骨間膜
停止:足背の母指末節骨底
支配神経:深腓骨神経
作用:母指の伸展、足関節背屈・内反
※足首で長母指伸筋のすぐ外側に足背動脈の拍動を触れる。

長指伸筋
起始:脛骨外側顆、腓骨内側面、下腿骨間膜
停止:第25指の指背腱膜に移行し、中節骨と末節骨に終わる。
支配神経:深腓骨神経
作用:第25指の伸展、足関節背屈・外反

3腓骨筋
起始:腓骨内側面、下腿骨間膜
停止:第5中足骨底(背面)
支配神経:深腓骨神経
作用:足関節背屈・外反
※ときに欠如することもある。






●腓骨筋群(下腿の外側に位置。全て浅腓骨神経支配で足関節の底屈・外反に作用)
※腓骨の外側にあり、伸筋群や屈筋群とは前・後下腿筋間中隔により境される。
※これらの筋の腱は外果の後ろで上腓骨筋支帯と下腓骨筋支帯により保持される。
※平坦でない道を歩くとき、足底を地面にうまく接触させるために外反と内反の微妙な調節が必要。
長腓骨筋
起始:腓骨頭、腓骨上部の外側面
停止:内側楔状骨、第1中足骨底(底面)
支配神経:浅腓骨神経
作用:足関節底屈・外反
※前脛骨筋と拮抗する作用を行う。

短腓骨筋
起始:腓骨下部外側面
停止:第5中足骨粗面
支配神経:浅腓骨神経
作用:足関節底屈・外反





●下腿の屈筋群(下腿の後面に位置。すべて脛骨神経支配。)
下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋の総称)
※腓腹筋とヒラメ筋は合して踵骨腱(アキレス腱)をつくる。踵骨腱(アキレス腱)は体内におけるもっとも強大な腱で、下腿のほぼ中央から始まり踵に停止する。
※下腿三頭筋の拘縮や短縮⇒尖足(足関節が底屈位に固定される)
※下腿三頭筋の麻痺⇒踵足(背屈筋のみが働き、足関節が背屈位に固定。)
※アキレス腱の断裂は頻度の高い外傷。走ったり、跳躍時のスポーツ外傷。

腓腹筋
起始:外側頭-大腿骨の外側上顆、内側頭-大腿骨の内側上顆
停止:踵骨腱(アキレス腱)をつくり、踵骨隆起に終わる。
支配神経:脛骨神経
作用:足関節底屈、膝関節屈曲
※膝を屈曲しているときは腓腹筋は十分働かない。

ヒラメ筋
起始:腓骨頭、脛骨のヒラメ筋線
停止:踵骨腱(アキレス腱)をつくり、踵骨隆起に終わる。
支配神経:脛骨神経
作用:足関節底屈

足底筋
起始:大腿骨外側上顆
停止:踵骨腱(アキレス腱)の内側縁に癒合
支配神経:脛骨神経
作用:下腿三頭筋の働きを助ける。
※欠如することもあり、その力は極めて小さい。
※腱の自家移植に利用される。

膝窩筋
起始:大腿骨外側上顆
停止:脛骨上部後面(ヒラメ筋線の上)
支配神経:脛骨神経
作用:膝関節屈曲・内旋
※膝関節を伸展位から屈曲するときに、初期動作である内旋運動を行う。

長母指屈筋
起始:腓骨下部後面
停止:母指末節骨底
支配神経:脛骨神経
作用:母指の屈曲、足関節底屈・内反
※内果と踵骨の間を橋渡しする屈筋支帯により、腱は保持される。
※縦足弓(足の縦アーチ)の維持を助ける。

長指屈筋
起始:脛骨後面
停止:第25指の末節骨底
支配神経:脛骨神経
作用:第25指の屈曲、足関節底屈・内反
※内果と踵骨の間を橋渡しする屈筋支帯により、腱は保持される。
※縦足弓(足の縦アーチ)の維持を助ける。

後脛骨筋
起始:下腿骨間膜の後面
停止:舟状骨、全楔状骨、立方骨、第24指の中足骨底
支配神経:脛骨神経
作用:足関節底屈・内反
※内果と踵骨の間を橋渡しする屈筋支帯により、腱は保持される。
※縦足弓(足の縦アーチ)の内側部を高く保つ働きをもつ。