『難経』:六十九難には「虚すれば其の母を補い、実すれば其の子を瀉せ」と記されている。この基準による取穴法は以下の通りである。
補法
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瀉法
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虚経
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取穴
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実経
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取穴
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木経
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木経の水穴、水経の水穴
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木経
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木経の火穴、火経の火穴
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火経
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火経の木穴、木経の木穴
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火経
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火経の土穴、土経の土穴
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土経
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土経の火穴、火経の火穴
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土経
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土経の金穴、金経の金穴
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金経
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金経の土穴、土経の土穴
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金経
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金経の水穴、水経の水穴
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水経
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水経の金穴、金経の金穴
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水経
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水経の木穴、木経の木穴
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例えば、肝虚の場合、「虚すれば其の母を補う」という基準に基づいて、五行相性関係で肝(木)の母にあたる腎(水)の経絡に補法を行えば、肝(木)を実することができる。この経絡選択の方法をさらに経穴の選択に援用して、五穴をその五行性格によって選び、水経の水穴を取れば、肝(木)の虚に対する補法が行える。
実際には当該経絡の五穴も、その五行性格を使って取穴するので、肝虚の場合は以下のような取穴の組み合わせとなる。
・自経脈(木経、足厥陰肝経)の母性穴(水穴、合穴)である曲泉穴
・母経脈(水経、足少陰腎経)の母性穴(水穴、合穴)である陰谷穴
その他の組み合わせは以下の通りである。尚、心経の取穴の際には心包経の経穴を使用することがあるので、心包経の対応穴を( )内に記した。
症状
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母経
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自経
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肝虚
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陰谷
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曲泉
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心虚
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大敦
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少衝(中衝)
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脾虚
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少府(労宮)
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大都
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肺虚
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太白
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太淵
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腎虚
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経渠
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復溜
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肺実の場合には、「実すればその子を瀉せ」という基準に基づいて、五行相性関係で肺(金)経の子にあたる経脈である腎(水)の経絡に瀉法を行えば、肺(金)を瀉することができる。よって、以下のような取穴の組み合わせとなる。
・自経脈(金経、手太陰肺経)の子性穴(水穴、合穴)である尺沢穴
・子経脈(水経、足少陰腎経)の子性穴(水穴、合穴)である陰谷穴
その他の組み合わせは以下の通りである。尚、こちらも( )内に心包経の対応穴を記した。
症状
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子経
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自経
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肝実
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少府(労宮)
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行間
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心実
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太白
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神門(大陵)
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脾実
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経渠
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商丘
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肺実
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陰谷
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尺沢
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腎実
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大敦
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湧泉
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<参考>