『素問』、『霊枢』には、今から約2千年前の中国で治療に用いられていた九種類の鍼具について記載されている。
①皮膚を破る鍼
鑱鍼(ざんしん)
|
長さ1寸6分。頭大きく末が鋭い。
熱が頭身の皮膚にあり、あちこち動くときにその陽気(熱)を瀉し去る。
皮膚の白いところに用いてはならない。
|
鋒鍼(ほうしん)
(三稜鍼ともいう)
|
長さ1寸6分。絮にのっとり、筒状から末が鋒となり、刃が三隅にある三つ目錐のようである。
|
鈹鍼(はしん)(『太素』では「ひ(金に非)鍼」)
|
長さ4寸。鋒の幅2分半。劔にのっとり、末が剣鋒のようになっている。
癰や大膿を切り開く。
|
②刺入する鍼
毫鍼(ごうしん)
|
長さ1寸6分(3寸6分説もあり)。毫毛にのっとり、尖が蚊や虻の喙(くちばし)のようになっている。
静かにゆっくり少しずつ刺し進め、目的の深さに達したらしばらく留め、寒熱や痛痹(痛み・しびれ)を取る。
|
員(円)利鍼
(えんりしん)
|
長さ1寸6分。牛の尾にのっとり、丸くて鋭く、中程がやや太い。
急激な痹(痛み・しびれ)に深く刺してこれを取る。
|
長鍼(ちょうしん)
|
長さ7寸。オビヒモにのっとり、鋒はとがって身は薄い。
深い邪や痹を取る。
|
大鍼(だいしん)
|
長さ4寸。鋒にのっとり、つえのようで、その鋒が微かに丸い。
関節に水がたまって腫れているとき、これを瀉す。
|
③刺入せずに接触・摩擦する鍼
員(円)鍼
(えんしん)
|
長さ1寸6分。絮にのっとり、筒状で鋒が卵のように丸い。
分肉の間(ごく浅いところ)をこすって気を瀉す。
|
鍉鍼(ていしん)
|
長さ3寸半。キビ・アワにのっとり、鋒がややとがっている。
手足末端近くの穴所の脈を按じて気を補ったり、邪を出させたりする。
|
<参考>
0 件のコメント:
コメントを投稿