2015年2月26日木曜日

第23回 はり師・きゅう師 国家試験問題の解答と解説(生理学)


平成27年(2015年)に行われた第23回 はり師・きゅう師国家試験の中から生理学に該当する問題の解答と解説をまとめました。







●問27.健康成人において血圧低下を起こすのはどれか。≪≫
1.血中ナトリウム濃度の上昇
2.レニン分泌の増加
3.心収縮力の増大
4.細動脈の拡張







解答
4

解説
1.ナトリウムイオンは血漿や間質液などの細胞外液中の陽イオンの90%を占める。したがって、体液中のナトリウムイオンの量は細胞外液の浸透圧や量を左右する最も大きな因子である。血中ナトリウム濃度が上昇すると、その濃度を下げるために水分が血管内に移動してくるので、循環血液量は増し、血圧は上昇する。
2.腎臓の糸球体近接細胞から分泌されるレニンによって、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が作動し、アルドステロンの分泌が促される。アルドステロンは主に腎臓の集合管に作用してNa+再吸収を増大させる。Na+再吸収に伴い水分も再吸収されるため、循環血液量が増加し、血圧は上昇する。また、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系によって活動するアルドステロンⅡは強力な血管収縮作用をもち、直接的に血圧上昇に作用する。
3.動脈圧は、心拍出量と総末梢抵抗(体循環全体の血管抵抗の総和)の積で表される。心収縮力の増大によって、心拍出量は増大するので血圧は上昇する。
4.上述の通り、動脈圧は心拍出量と総末梢抵抗の積で表される。細動脈の拡張によって総末梢抵抗は減少するので、血圧は低下する。よってこれが正解である。






●問28.へーリング・ブロイエル反射について正しいのはどれか。≪呼吸≫
1.受容器は圧受容器である。
2.求心路は交感神経である。
3.反射中枢は視床下部にある。
4.吸息中枢が抑制される。





解答
4

解説
肺が吸息により伸展されると肺の伸展受容器が興奮し、その情報は迷走神経を介して呼吸中枢に伝えられ、吸息中枢を抑制する。その結果、吸息が抑えられ、吸息から呼息に移行する。これをヘーリング・ブロイエル反射という。
1.受容器は伸展受容器である。
2.求心路は迷走神経の副交感神経線維である。
3.呼吸中枢は延髄に存在する。
4.上述の通り、肺伸展受容器の興奮は迷走神経を介して延髄の呼吸中枢に伝えられ、吸息中枢を抑制する。よってこれが正解である。







●問29ATPに含まれるのはどれか。≪栄養と代謝≫
1.アクチン
2.チミン
3.デオキシリボース
4.リン酸






解答
4

解説
ATPはアデノシン三リン酸という高エネルギーリン酸化合物である。
1.アクチンフィラメントは細胞の形をつくる骨組みの役目を果たす直径6nmの線維性のタンパク質である。筋原線維に存在する細いフィラメントであるアクチンは筋収縮運動に関与する。
2.チミンはDNAを構成する塩基のひとつである。
3.デオキシリボースはDNAを構成する糖のことである。
4.ATPはアデノシン三リン酸という高エネルギーリン酸化合物なので、これが正解である。






●問30.腎臓の尿細管で分泌されないのはどれか。≪排泄≫
1.尿素
2.重炭酸イオン
3.水素イオン
4.カリウムイオン





解答
2

解説
1.尿素は糸球体で濾過されるほか、尿細管で分泌と再吸収の両方が行われる。
2.重炭酸イオンは糸球体で濾過された濾液中に含まれる。尿細管細胞から分泌された水素イオンと反応し、水と二酸化炭素を生じる。二酸化炭素は尿細管細胞に入り、細胞内にある水素イオンと反応して重炭酸イオンと水素イオンに分かれる。こうして体液のpH調整に関与する。糸球体で濾過されるが、尿細管から分泌されることはないのでこれが正解である。
3.腎臓は過剰な水素イオンを尿細管から分泌し、体液のpHを調節する。
4.カリウムイオンは近位尿細管で能動輸送によって再吸収されるが、遠位尿細管や集合管では逆に少量分泌される。






●問31.ホルモンとその効果器の組合せで正しいのはどれか。≪内分泌≫≪消化と吸収≫
1.セクレチン ――――――― 肝臓
2.コレシストキニン ―――― 胆嚢
3.ガストリン ――――――― 膵臓
4.エリスロポエチン ―――― 腎臓





解答
【1 又は 2

解説
1.セクレチンは小腸粘膜(特に十二指腸粘膜)にあるセクレチン分泌細胞から分泌される。セクレチンは主に胃と膵臓に作用する。胃では胃液の分泌を抑制し、膵臓では外分泌細胞に作用し、アルカリ性の重炭酸イオンに富む膵液の分泌を促す。また、セクレチンは肝細胞の胆汁分泌を促す作用をもつ。よってこれが正解である。
2.コレシストキニンは小腸粘膜がアミノ酸や脂肪酸などによって刺激されると、コレシストキニン分泌細胞より毛細血管内に分泌される。膵臓では膵外分泌腺細胞に働いて酵素に富んだ膵液の分泌を促す。胆嚢では平滑筋を収縮させて胆汁の放出を盛んにする。よってこれが正解である。
3.ガストリンは、胃幽門部に機械的・化学的刺激が加わると、幽門部粘膜にあるガストリン分泌細胞から分泌される。胃腺にある壁細胞に作用して、塩酸分泌を促進する。
4.腎臓から分泌されるエリスロポエチンは、骨髄に作用して赤血球の新生を促進する。







●問32.出産時の子宮収縮にかかわるホルモンはどれか。≪内分泌≫
1.エストロゲン
2.黄体形成ホルモン
3.オキシトシン
4.プロゲステロン






解答
3

解説
1.エストロゲンは、身体の多くの組織に作用して女性の第二次性徴の発現(乳房の発達、骨格の女性化、皮下脂肪の沈着など)に関与する。生殖器では、卵胞発育、卵管運動の促進、乳腺の発育促進、子宮内膜肥厚、膣上皮増殖、性欲の亢進などに関わる。
2.黄体形成ホルモンは、成熟卵胞に働き、排卵を誘発する。また、排卵後は黄体形成を促し、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を増加させる。男性では、精巣の間質細胞に作用し、男性ホルモン(テストステロン)の生成と分泌を促す。
3.オキシトシンは、成熟した乳腺に作用して乳汁の排出を促がす。分娩時には胎児が産道にはいる刺激によって、オキシトシンの分泌が増し、子宮平滑筋の収縮力を強める。よってこれが正解である。
4.プロゲステロンは、子宮内膜の腺分泌を亢進させ、受精卵の着床を容易にして妊娠を維持する作用を持つ。そのほか、乳腺の発育促進、排卵の抑制、体温上昇作用などをもつ。














●問33.神経線維の興奮伝導について正しいのはどれか。≪神経≫
1.活動電位は隣接する神経線維に伝わる。
2.無髄線維は有髄線維より伝導速度が速い。
3.活動電位の大きさは伝導の途中で減衰する。
4.有髄線維では跳躍伝導が起こる。




解答
4

解説
シュワン細胞の細胞膜が軸索のまわりに幾重にも巻きついて、軸索の周囲に脂質とタンパク質の混合物からなる鞘が形成されている神経線維を有髄線維という。この鞘は髄鞘(ミエリン)と呼ばれ、軸索を絶縁する働きをもつ。よって神経の細胞膜を横切る電流はこの髄鞘では流れにくく、局所電流は、髄鞘が一定間隔で途絶えている部分、すなわちランビエの絞輪の部分でのみ流れる。従って、新しい活動電位は一つのランビエの絞輪から次の絞輪へジャンプしながら発生し、このような伝導を跳躍伝導と呼び、伝導速度は髄鞘のない無髄線維と比べてずっと速くなる。
また、神経の興奮の伝導には以下の3つの原則がある。
①絶縁性伝導:多数の神経線維が平行して神経線維束を作っている場合、一本の神経線維が興奮しても、隣接する他の神経線維には興奮が起こらない。
②不減衰性伝導:神経の直径その他の性状が一様な場合は、興奮の大きさは減衰せずに一定の大きさで伝導する。
③両方向性伝導:神経線維の一部を刺激すると、そこで生じた興奮は両方向に伝導する。

1.活動電位は隣接する神経線維に伝わらない(絶縁性伝導)。
2.無髄線維より跳躍伝導がおこる有髄線維の方が伝導速度は速い。
3.活動電位の大きさは変化しない(不減衰性伝導)。
4.髄鞘(ミエリン)をもつ有髄線維では跳躍伝導が起こる。よってこれが正解である。








34.筋収縮に必要なイオンはどれか。≪筋≫
1.カルシウム
2.水素
3.鉄
4.マグネシウム





解答
1

解説
筋細胞の中の筋原線維は、筋小胞体と呼ばれる袋状の構造物によって取り巻かれている。この筋小胞体の終末槽には大量のカルシウムイオンが貯えられている。筋細胞膜に発生した活動電位によって筋小胞体の終末槽のカルシウムイオンが筋原線維の周囲に放出される。放出されたカルシウムイオンは、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの間にあるトロポミオシン上のトロポニンと結合することで、アクチンとミオシンの結合が可能となる。これにより筋収縮が起こる。









●問35.随意運動の伝導路はどれか。≪神経系≫
1.皮質脊髄路
2.後索路
3.脊髄視床路
4.脊髄網様体路





解答
1

解説
1.大脳皮質運動野に始まり、側索と前索を通って脊髄の前角ニューロンにいく。主に随意運動に関係する。よってこれが正解である。
2.触覚の一部、深部感覚を延髄に伝える。
3.皮膚の温度感覚と痛覚、触覚の一部を視床に伝える。
4.痛覚や温度感覚を延髄の網様体に伝える。






●問36.視覚の遠近調節に関与するのはどれか。≪感覚≫
1.外眼筋
2.上直筋
3.瞳孔散大筋
4.毛様体筋





解答
4

解説
ヒトの場合、遠近の調節は水晶体の厚みを変えることによって光の屈折の度合を変え、焦点を合わせる。遠くの物体をみるときには水晶体を薄くし、近くの物体をみるときには水晶体が厚くなる。この水晶体の厚みの変化は毛様体小帯を介してつながっている毛様体筋によって行われる。毛様体筋が収縮すると毛様体小帯が緩んでそれにつながる水晶体の厚みが増して、屈折力が増す。
1.外眼筋は眼球運動に関与する。
2.上直筋は外眼筋のひとつであり、眼球を上方に回転させる。
3.瞳孔散大筋は瞳孔を広げる。
4.上述の通り、毛様体筋は水晶体の厚みを変えて遠近の調節に関与する。よってこれが正解である。






●問37.食作用をもたないのはどれか。≪生体の防御機構≫
1.マクロファージ
2.好中球
3.ヘルパーT細胞
4.樹状細胞






解答
3

解説
1.マクロファージは単球が血管から組織中に出てきたものである。積極的に遊走し、大きな異物を貪食して除去する。大食細胞と呼ばれる。
2.好中球は白血球の大部分を占める。細菌や異物が体内に侵入したとき、それらに近づき(遊走)、細菌や異物を取り込んで分解、消化する作用を持つ。
3.ヘルパーT細胞はサイトカインと呼ばれる物質を放出して、B細胞の分裂や抗体産生を助けたり、マクロファージが病原体を破壊するのを助ける働きを持つ。食作用は持たないので、これが正解である。
4.樹状細胞は、食作用により自らが取り込んだ抗原を他の免疫系の細胞に伝える役割を持つ抗原提示細胞として機能する免疫細胞の一種である。皮膚や鼻腔、肺、胃、腸管などに存在し、その名のとおり周囲に突起を伸ばしている。表皮の樹状細胞はランゲルハンス細胞と呼ばれる。










正常立位時の重心と筋活動

正常立位時の重心位置と理想的な筋活動についてのまとめ。






●重心位置
頭頂部から足底までの間の下から5558%当たりの重心線上にあり、ほぼ第2仙椎の少し前方に位置する。


●重心線
矢状面
耳、第1頸椎、第7頸椎、第10胸椎、第5腰椎、仙椎の前方、股関節の後方、膝関節の前方を通り、踵と中足骨骨頭の間に落ちる。
前額面
人体中央に位置し、外後頭隆起、椎骨棘突起、殿溝、両膝関節内側の中心、両内果の中心を通過する。







●正常立位保持と筋活動
 姿勢を維持するために必要な筋群を抗重力筋という。理想的な姿勢の安静立位であれば、重心線は股関節の後方を通るため、股関節前方の強靭なY靭帯が緊張し保持される。膝関節では重心線が膝関節中心の前方を通るが、関節後方の靭帯の緊張により保持される。このように、立位保持は重心の位置と靭帯の緊張により行われる。足部では重心線は足関節中心より前方に落ちるが、後方の下腿三頭筋の緊張により保持される。よって立位保持に必要な筋の作用は下腿三頭筋のわずかな収縮のみであるといわれている。しかし、実際の立位では外乱もあり、抗重力筋(ハムストリングス、殿筋、背筋など)が常に姿勢調整をしている。


<参考>

第23回 はり師・きゅう師 国家試験問題の解答と解説(病理学)




平成27年(2015年)に行われた第23回 はり師・きゅう師国家試験の中から病理学に該当する問題の解答と解説をまとめました。解説は準備中です。







●問38.下垂体前葉機能亢進症はどれか。≪≫
1.尿崩症
2.クッシング病
3.シモンズ病
4.バセドウ病







解答
2

解説

準備中です。しばらくお待ちください。






●問39.粉塵となるのはどれか。≪≫
1.青酸
2.珪酸
3.サリン
4.ベンゼン





解答
2

解説

準備中です。しばらくお待ちください。







●問40.水腫の原因はどれか。≪≫
1.毛細血管静水圧の低下
2.毛細血管透過性の低下
3.血漿膠質浸透圧の低下
4.血液凝固能の低下






解答
3

解説

準備中です。しばらくお待ちください。













●問41.類上皮細胞はどれか。≪≫
1.マクロファージ
2.リンパ球
3.肥満細胞
4.好中球





解答
1

解説

準備中です。しばらくお待ちください。






●問42.ヘルパーT細胞のうちTh2細胞の役割はどれか。≪≫
1.抗原の提示
2.細胞性免疫
3.抗原刺激の記憶
4.抗体応答の活性化





解答
4

解説

準備中です。しばらくお待ちください。






●問43.癌の病期分類の決定に必要な項目はどれか。≪≫
1.悪液質
2.腫瘍マーカー
3.組織型
4.リンパ節転移






解答
4

解説

準備中です。しばらくお待ちください。







●問44.癌と腫瘍マーカーの組合せで最も適切なのはどれか。≪≫
1.肝細胞癌 ―― HCG
2.胃癌 ―――― CEA
3.食道癌 ――― CA 19-9
4.肺癌 ―――― PSA




解答
2

解説

準備中です。しばらくお待ちください。