2013年3月4日月曜日

背部の筋(Muscles of back)


●浅背筋
※主として脊柱から起こり、上肢帯または上肢の骨(肩甲骨・鎖骨・上腕骨)に停止。
※上肢帯筋として上肢の運動に関与。
僧帽筋
起始:外後頭隆起、項靭帯、棘突起(全胸椎+第7頸椎)
停止:肩甲棘(肩甲棘)、肩峰(肩甲骨)、鎖骨外側1/3
支配神経:副神経、第24頸神経
作用:上部は肩甲骨と鎖骨の挙上。中部は肩甲骨を内方に引き固定。下部は肩甲骨を回転し、上腕の挙上を助ける。
※カトリックの僧の頭巾に似ているところからその名が由来する菱形の扁平な筋。
※上肢が固定されたとき、両側が同時に働けば頭を後屈させることができ、一側だけが働けば頸部をそちらの方に側屈することができる。

広背筋
起始:棘突起(第7胸椎以下の胸椎・腰椎・仙骨)、腸骨稜、下位(第912)肋骨、肩甲骨下角
停止:小結節稜(上腕骨)
支配神経:胸背神経(第68頸神経)
作用:肩関節の内転・内旋さらに背部へ回るように働く。
※本来、上肢帯の筋であり、脊柱からの起始は二次的なもので、肩甲骨下角から起こる筋束が原始的な状態を示すといわれている。
※背中を手でかいたり、水泳でクロールのストロークを行うなどの場合に働く。
※停止部を固定すると、体幹が挙上する。
※鉄棒にぶら下がった場合、上腕骨を下方に引いて上方に脱臼するのを防ぐとともに、大胸筋と一緒に体を引きあげるように働く。
※胸郭の背側壁に沿って走っているので腋窩の後壁を構成する。
※上方では僧帽筋と菱形筋との間に聴診三角、下方では腸骨稜および外腹斜筋との間に腰三角を形成する。

肩甲挙筋
起始:第14頸椎横突起
停止:肩甲骨上角
支配神経:肩甲背神経(第5頸神経)
作用:肩甲骨を上内方に引く。
後頸三角(胸鎖乳突筋、僧帽筋上部、鎖骨)の底部を斜めに走る。

小菱形筋
起始:第67頸椎棘突起
停止:肩甲骨内側縁上部
支配神経:肩甲背神経(第5頸神経)
作用:肩甲骨を上内方に引く。

大菱形筋
起始:第14胸椎棘突起
停止:肩甲骨内側縁
支配神経:肩甲背神経(第5頸神経)
作用:肩甲骨を上内方に引く。
※大菱形筋と小菱形筋は肩甲骨の関節窩を下方に向け、挙上した腕を下げるときなどに働く。





●深背筋
※上肢の運動とは関係がない。
・第1層(棘肋筋)(全て肋間神経支配)
※本来は肋間筋と同じ筋群に属する筋。
上後鋸筋
起始:第5頸椎~第2胸椎の棘突起、項靭帯
停止:第25肋骨
支配神経:肋間神経(第14胸神経)
作用:肋骨を引き上げる(吸息の補助筋)
※菱形筋におおわれる。

下後鋸筋
起始:第10胸椎~第2腰椎の棘突起
停止:第912肋骨
支配神経:肋間神経(第912胸神経)
作用:肋骨を引き下げる(呼息の補助筋)
※広背筋におおわれる。

・第2層(固有背筋)
※本来の背筋。脊髄神経後枝に支配される。
※多数の筋からなり、しばしばまとめて固有背筋と総称される。
※胸・腰部では厚い胸腰筋膜に包まれているので、浅背筋とは明らかに区別される。
板状筋
起始:下位(第47)頸椎および上位(第15)胸椎の棘突起
停止:乳様突起(側頭骨)12頸椎横突起
支配神経:脊髄神経後枝
作用:頸部と頭部を後屈(頸部の伸展)させ、一側のみが働くとそちらに側屈・回旋させる。
※僧帽筋の下層に位置する扁平で板状の筋。
※他の背筋(最長筋、頭半棘筋)と協力して、頭が重力で前方に傾かないよう保持し、前屈位から復するように働く。
※停止の違いから、頭板状筋頸板状筋とが区別される。

脊柱起立筋
起始:仙骨の背面・下部腰椎棘突起・腸骨稜
停止:最も外側に位置し、肋骨に終わる(腸肋筋)。中間部に位置し、横突起または肋骨に終わる(最長筋)。内側に位置し、上位の棘突起に終わる(棘筋)。
支配神経:脊髄神経後枝
作用:脊柱を伸展して屈曲を防ぎ、脊柱を起立させる。一側のみが働くと、側屈、回旋する。
※最大の背筋。腸骨、仙骨の後面から上方は側頭骨の乳様突起にまで達する。

横突棘筋
起始・停止:横突起から起こり、棘突起に終わる筋群。
支配神経:脊髄神経後枝
作用:頭および脊柱の背屈と側屈
※最深層にある背筋。
※横突起から斜めに上行して上位の棘突起につく筋群(半棘筋・多裂筋・回旋筋)の総称。
半棘筋は頭頸部で発達がよく、脊柱を直立させ、頭を保持するのに重要な筋。居眠りの際に頭が前方に落ちるのは、半棘筋が弛緩するためと考えられている。
多裂筋回旋筋と順次筋の長さは短くなり、前者は脊柱の伸展とわずかな回旋、後者は脊柱の回旋を行う。





●後頭下筋
※項部の最深層にある筋群で、後頭骨から第2頸椎にわたってみられる4対の小筋。
※大後頭直筋と上および下頭斜筋によって囲まれる後頭下三角から出現する第1頸神経後枝(後頭下神経)の支配を受ける。
小後頭直筋
起始:環椎の後結節から起こり、外上方に広がる。
停止:後頭骨の下項線の内側部の下方。
支配神経:後頭下神経
作用:主として頭を後ろに引いて直立位に保持する。一側が働けば同側に曲げる。また下頭斜筋は同側に回す。

大後頭直筋
起始:軸椎の棘突起から起こり、小後頭直筋の外側部の一部と重なりながら外上方に広がる。
停止:後頭骨の下項線の外側部。
支配神経:後頭下神経
作用:主として頭を後ろに引いて直立位に保持する。一側が働けば同側に曲げる。また下頭斜筋は同側に回す。

上頭斜筋
起始:環椎の横突起前部から起こり、斜めに後上方に走る。
停止:大後頭直筋の停止を一部おおって、その外上方。
支配神経:後頭下神経
作用:主として頭を後ろに引いて直立位に保持する。一側が働けば同側に曲げる。また下頭斜筋は同側に回す。

下頭斜筋
起始:軸椎の棘突起から起こり、斜めに外上方に走る。
停止:環椎の横突起の後部。
支配神経:後頭下神経、大後頭神経
作用:主として頭を後ろに引いて直立位に保持する。一側が働けば同側に曲げる。また下頭斜筋は同側に回す。




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