2013年2月25日月曜日

胸部の筋(Muscles of chest)


●浅胸筋(すべて胸郭から起こり、腕神経叢からの神経支配を受ける)
大胸筋
起始:鎖骨(内側1/2)、胸骨と肋軟骨、腹直筋鞘
停止:上腕骨大結節稜
支配神経:内側胸筋神経・外側胸筋神経(第58頸神経、第1胸神経)
作用:肩関節の屈曲、内転・内旋
※両腕をひろげて深呼吸するときは肋骨を引き上げるので、呼吸補助筋にもなる。
※腋窩の前壁をつくる(後壁は広背筋、内側壁は前鋸筋、外側壁は上腕骨)。

小胸筋
起始:第25肋骨
停止:肩甲骨烏口突起
支配神経:内側胸筋神経・外側胸筋神経(第58頸神経、第1胸神経)
作用:呼吸補助筋
※肩甲骨の関節窩を前下方に向ける。
※地面に落とした物を、腕を前に伸ばして拾うときに働く。
※肩甲骨が固定されているときは、肋骨を挙上し呼吸の補助筋としても働く。

鎖骨下筋
起始:第1肋骨
停止:鎖骨下面
支配神経:鎖骨下筋神経(第5頸神経)
作用:鎖骨を下内方に引き、胸鎖関節を保護する。
※上肢の強い運動の際、鎖骨が過度に引っ張られないように固定し、胸鎖関節の脱臼を防ぐ。
※筋の直下を走行する鎖骨下動・静脈のクッションの役目を果たしている。

前鋸筋
起始:第18肋骨
停止:肩甲骨内側縁
支配神経:長胸神経(第57頸神経)
作用:肩甲骨を前に引く。下角を前に引いて肩甲骨を回す。
※腋窩の内側壁を形成。
※全体として肩甲骨を前方に引くが、とくに下方の筋束は下角を前方に引いて肩甲骨を回し、肩関節の屈曲と外転を助ける。





●深胸筋
※胸郭に起始と停止をもつ固有の胸筋。
※すべて呼吸作用に関係する。
外肋間筋
起始・停止:各肋間隙を満たす最表層筋。後方では肋骨結節から起始、筋束は前下方へ斜めに走る。前方は腱膜様となり、外肋間膜という。
支配神経:肋間神経
作用:肋骨を引きあげて胸郭を広げ、息を吸い込む(吸気筋)
※後方で厚く、前方に向かうにつれて薄い膜状になる(外肋間膜)

内肋間筋
起始・停止:肋間隙の中層筋。筋束は前上方へ斜めに走る。後方は腱膜様となり、内肋間膜という。
支配神経:肋間神経
作用:肋骨を引きさげて胸郭を狭め、息を吐き出す(呼気筋)
※胸骨縁でよく発達している。

最内肋間筋
起始・停止:肋間隙の最内層筋。内肋間筋の内面で同じ走行をもつ筋束であるが、肋間神経・動脈・静脈が両者を分ける。
支配神経:肋間神経
作用:肋骨を引きさげて胸郭を狭め、息を吐き出す(呼気筋)

肋下筋
起始・停止:胸郭後壁の内面にある。最内肋間筋の分束で、第23肋間にまたがる。
支配神経:肋間神経
作用:肋骨を引きさげて胸郭を狭め、息を吐き出す(呼気筋)

胸横筋
起始・停止:起始は胸郭前壁の内面で、胸骨から斜上方へ走る。停止は第26肋軟骨へ至る。
支配神経:肋間神経
作用:肋骨を引きさげて胸郭を狭め、息を吐き出す(呼気筋)

肋骨挙筋
起始・停止:胸郭後壁の外面にある。起始は各胸椎の横突起で斜め下外側に扇状に広がる。停止は1つまたは2つ下の肋骨につく。
支配神経:脊髄神経後枝
作用:肋骨を引きあげ、息を吸う(吸気筋)




                                   
●横隔膜
横隔膜
起始:第14腰椎の椎体前面、第12肋骨尖端、第712肋軟骨の内面、剣状突起よりの小さい筋束
停止:腱中心(膜状筋板は円蓋状に集まる。中心部は腱膜化し、クローバー状を呈す)
支配神経:横隔神経(第35頸神経)
作用:吸気筋(収縮すると胸腔は広がり、弛緩すると胸腔は狭まる)
※胸腔と腹腔を隔てる横紋筋でできた膜状の隔壁。
※腱中心は第45肋骨の高さにある。
※収縮することでドーム状の屋根が下がる。⇒胸腔内圧低下。
※以下の3つの孔が存在
・大動脈裂孔:第12胸椎の椎体前面にあり、下行大動脈と動脈周囲交感神経叢(大・小内臓神経など)、奇静脈、胸菅などが通る。
・食道裂孔:第10胸椎の高さで大動脈裂孔の左前上方にあり、食道と、左右の迷走神経が通る。
・大静脈孔:第8胸椎の高さで腱中心にあり、右寄りに位置する。下大静脈が通る。
※横隔膜の上面は胸膜に、下面の大部分は腹膜に覆われている。
※裂孔の周りの筋束はハチマキ状に走り、腸管などの裂孔からの脱出を防いでいる。
※横隔膜ヘルニアでは食道裂孔を通るもの(食道ヘルニア)が最も多い。


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